ベンチャー企業が収支計画の作成で注意すべき3つのポイント【解説】

スタートアップ・ベンチャー企業の設立時に必要な法律

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収支計画って、どうやって作るの

スタートアップ企業などは、資金調達の場合など、収支計画を作成することが求められます。

そこで、収支計画を作成するときに注意すべき大事なポイントを解説します。

注意点1:売上は根拠のある数字となっているか

まず、問題となるのは、売上予測です。売上と売上原価を製品群に分け、数量・単価を積み上げて計算します。

事業計画の売上予想は、非常に重要な要素です。多くの事業計画では、この売上の根拠が弱いものがあります。

市場規模が100億円なので、そのうちのシェアを1%とることが可能だから、1億円の売上が来期に計上できるといったものです。

売上を上げることは、そんなに簡単ではありません。製品群ごとに、誰に対して、どのくらいの数量を、どのくらいの単価で販売するかといった売上明細計画がないと誰からも信用されません。

特に、直近1年なら、特定の購入希望者からの注文がなければ、売上を計上できないでしょう。

2~5年先では、どの取引先に対して、どのようなマーケティング活動やセールスプロモーション政策をとるのか、それにより、どのくらいの確度で売上数量を獲得できるか、数量を確保するためには売上単価をどのくらい低減させる必要があるのかを予測して、積み上げていく必要があります。

注意点2:費用は過少に見積もられていないか

売上が過大に見積もられる傾向である一方で、売上原価や一般管 理費・販売費は過少に見積もられる傾向があります。

それぞれの製品群ごとの売上単価に占める原価率はどの程度かは厳しく見積もる必要があります。

まず製造原価を分解します。

製品をつくるのにどのくらいの原材料が必要か、ファブレスで製造を委託する場合には、外注加工費をどのくらいに見積もるか、自分のところで製造する場合には、製品1個当たりの作業量がどのくらい必要か、その作業量に労働時間単価を掛けて、といった数字を労務費にカウントし、必要な従業員の人数と単価を特定します。

電力代やその他経費は見積もっているか、チェックも必要です。

製造設備を導入する場合には、その年次と耐用年数、投資額を特定し、減価償却費の計上も行います。

一般管理費・販売費についても、積み上げが必要です。

役員構成をどうするのか、それぞれの年収をいくらにするのか、営業担当、開発担当、品質担当、経理総務担当の人材をどの年次に何人ぐらい採用するのか、その単価をどのくらいに見積もるのかを決めていきます。

販売費としては、プロモーションや宣伝活動にどのくらいの費用がかかるかを計算します。

開発型ベンチャーやITベンチャーの場合には、初期の開発費が莫大にかかる傾向にありますので、人件費以外に、研究経費や委託費用も見込む必要があります。

注意点3:キャッシュは不足しないか

キャッシュフロー計画では、どうしても資金が不足がちになるので、前もって増資や借入によって資金を回す必要があります。

いつ、いくら調達するか、その返済はどのように行うかを明確にし、借入については利息を計上し、増資についても、配当を約束している場合は、 配当金額を計上する必要があります。

利益に対する税金もキャッシュアウトですので、それも計算し、キャッシュフロー表を作成します。増加運転資金の資金増加の手当ても必要になります。

収支計画は、根拠も持って作成する

以上のように、収支計画については、しっかりとした根拠を持つことが重要です。

もちろん、収支計画通りに、実際のビジネスが行くことはありません。しかし、収支計画を出すからには、その根拠を持たないと、投資家などから厳しい追及を受けることになります。

経営者としては、そのポイントをしっかりと把握しておきましょう!

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