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ストックオプションの設計の際には、税制適格に注意
ストックオプションを設計する際に注意すべきことの一つが、税制適格となるようにすることです。
ストックオプションは、給与の一種ということができますので、所得税や住民税の課税対象になります。
その本来的な課税の時期としては、ストックオプションである新株予約権を行使して株式を取得した時点です。
権利行使価格と権利行使時の時価の差額が利益となり、給与所得課税がされます。
しかし、ここでの問題は、ストックオプションを行使した従業員は、あくまでも株式を手にしただけであり、現金は手にしていないということです。
そのため、課税されても税金を支払うべき元手がありません。しかも、給与所得ということになりますので、権利行使価格と権利行使時の差額が大きければ大きいほど、かなりの率の税金がかかることになります。
税金を支払うためには株式を売却しなければなりませんが、そうすると株式をもち続けることができなくなってしまいます。
このような不都合を回避するため、一定の条件を満たした場合には、権利行使時に課税せず、その後に株式を売却した時点まで課税を繰り延べ、さらに給与所得ではなく譲渡所得とすることにしたのが、税制適格ストックオプションです。
このような税務上の優遇措置により、ストックオプションが使いやすくなります。
税制適格の条件
税制適格とするためには、新株予約権が無償発行であること、権利行使価格や権利行使期間、権利行使の上限額といった数多くの条件がありますが、その条件は付与契約において定めておく必要があります。
ストックオプションに関する税制は、頻繁に改正されています。
ストックオプションを付与する場合には、必ずストックオプションに詳しい専門家に相談して最新の条件を確認するようにしてください。
税制適格かどうかの確認を
ストックオプションは税制適格にしなければならないということはありませんが、従業員にとってメリットが大きいものですので、まずは税制適格ストックオプションとなるように検討してみるのがよいと思います。
なお、税制適格ストックオプションにすることができない場合には、有償ストックオプションとすることも検討するとよいかもしれません。