日本政策金融公庫が取り扱うスタートアップ・ベンチャー企業向け融資制度

資金調達で必要な法律

スタートアップ・ベンチャー企業が、借入を行う場合、日本政策金融公庫を活用するという方法があります。

そんな日本政策金融公庫で、スタートアップ・ベンチャー企業向けの融資制度があるので、ご紹介します。

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新創業融資制度

この制度は、創業前または創業後間もない会社が、無担保・無保証で利用できる創業融資制度です。

また、保証料が不要である一方、金利が高めに設定してあることが特徴です。下記の要件をすべて充足する必要があります。

  1. 新たに事業を始める会社、または事業開始後税務申告を2期終 えていない会社
  2. 雇用の創出を伴う事業を始める会社、現在勤めている会社と同じ業種を始める会社、すでに事業を始めている場合は、事業開始時に一定の要件に該当した会社
  3. 新たに事業を始める会社、または事業開始後税務申告を1期終えていない会社は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいう)を確認できる会社

融資限度額は3000万円(うち運転資金1500万円)。
担保保証人は原則不要です。

挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)

資本性ローンとは、会計上は負債として扱われるが、金融機関の償務区分判定において自己資本とみなすことができることを特徴とする借入れをいいます。

他の金融機関が当該企業の決算書等を評価する場合、資本性ローンについては負債ではなく、自己資本として扱われるため、出資に近いかたちで資金調達を行えるにもかかわらず、創業者等の既存株主の持株比率を低下させないことにメリットがあります。

業績に応じた金利設定が行われるため、業績が好調なときは、業継が低調なときに比べて、金利負担が大きくなることに注意が必要です。

同制度は、主に創業時や新規事業を始める小規模な会社を対象とした「国民生活事業」と、新規事業や企業再建等に取り組む事業規模の大きい会社を対象とした「中小企業業」の2つがあり、いずれも、無担保・無保証で利用ができます。

新株予約権付融資

新株予約権付融資とは、ベンチャー企業が新たに日本政策金融公庫に対して、新株予約権を発行し、新株予約権の発行と同時に、同公庫がベンチャー企業に対して無担保で融資する方法です。

この融資制度の利用条件の概要は次の通りです。

融資限度額:2億5000万円(本制度の融資および社位の合計の限度は6億円)ただし、取得する新株予約権は、原則として、新株予約権を行使したものとして算出される株式数が、発行済株式総数を超えないものとする。

新株予約権の行使価額:新株予約権の取得時の株式の時価

新株予約権の行使価額:無償

返済期間:7年以内

償還方法:原則として分割償還

新株予約権の行使等
・日本政策金融公症が新株予約擢を行使して株式を取得することはない。
・ 原則として、株式公開等の一定の条件を充足した場合は、代技者等に新株予約権を売却。

新株予約権の行使期間:新株予約植発行日から償還期限まで

上記のとおり、新株予約権を行使して株式を取得することはないことから、日本政策金融公庫が株主として、経営に関与することはありません。

株式公開等の一定の条件を充足した場合は、代表者等に新株予約権を売却する、つまり、代表者等に新株予約権の買取義務が発生することをいいます。

そのため、融資額の返済原資のほかに新株予約権の買戻しのための原資も用意しなければならないことに注意が必要です。

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