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起業時(シードステージ)の出資
スタートアップ企業は、事業を発展させるために、資金調達をする必要があります。
その資金調達の一つが、出資です。最近では、起業時(シード段階)に出資を受ける例も増えてきました。
しかし、起業時(シード段階)で出資してもらうのは、資金調達について、起業家側もよく分かっていないことが多いので、その後の資金調達に影響が生じたりすることがあります。
そこで、ここでは起業時(シードステージ)の出資についてのポイントや特徴について説明していきたいと思います。
エンジェル投資家からの出資
かつては、起業するための資金は自己資金で賄うか、金融機関か個人から借り入れる(融資を受ける)ことが主でした。
しかし、資金調達については、出資をしてもらうという選択肢もでてきました。
いわゆるエンジェル投資家と呼ばれるような投資家も増えてきました。
現在では、起業時の資金調達のための、起業家と投資家をつなぐマッチングのイベントなども少なくありません。そして、実際にこのような機会を通じてエンジェル投資家やインキュベーター・アクセラレーターから起業資金を調達するという例も増えてきました。
出資を受ける方法についていえば、返済の必要がなく、会社の負債にもならないという利点があります。
しかし、出資を受けるということは、株式を握られてしまうので、後に事業拡大のステージでの資金調達に支障をきたすことがあります。
出資を受けるということは、投資家に株式を引き受けてもらうことになりますが、それは投資家が株主になることを意味します。
株主になれば株主総会での議決権があり、その持株比率次第では大きな力をもつことになります。
そして、エンジェル投資家等の持分が大きすぎると、その後にベンチャーキャピタルなどから出資を受ける際に、
エンジェル投資家等の持分が大きすぎることがネックとなって、出資を受けられなくなってしまうことがあります。
株式は、一度、渡してしまうと、後戻りできなくなります。しっかりと資本政策をする必要があります。
親族や友人・知人からの出資
以前から行なわれており、いまでも実際に行なわれているのが親族や友人・知人に出資してもらうことも行われています。
特徴は、一人当たりの出資額が小さいこと、同時に多くの人に出資してもらう例が多いことです。
エンジェル投資家からの出資だと数百万円~1,000万円程度が多いと思いますが、親族や友人・知人はあくまでも一個人として、しかも応援の気持ちで出資することから、出資額は多くても数十万円程度であることが一般的です。
一人当たりの出資額が少ないために、多くの資金を集めるためには多くの人に出資してもらう必要があり、出資者の数も増えていきます。
繰り返しになりますが、出資者=株主であることから、出資者が増えると株主も増えることになります。株主が多いと、会社設立後の会社運営コストが大きくなってしまうというデメリットがあります。
筆頭株主であっても創業者の持分が小さくなってしまっていることもありますので、株主が増えすぎることがないように注意しなければなりません。
出資をしてくれる人がいるのはうれしいことですが、出資=株主になるということを踏まえて、しっかりと将来を見据えた資本政策を策定することが重要なのです。
投資契約書の作成
起業する際に出資を受けることとなった場合には、法律上の株式発行手続きを経て、出資者を株主名簿に記載することが必要であり、それ以外に契約書などをつくることは必須ではありません。
実際に、起業時の出資の場合には、何の契約書もつくらないことも数多く見られます。これは、出資金額が比較的小さいことからあまりコストをかけられないという事情も影響しているでしょうし、起業家側としては知識や経験がないということもあると思います。
しかし、出資者・投資家は株式を所有し、会社の株主になる存在です。
持株比率が低ければ影響力はないと考えるかもしれませんが、他の株主と協力することで力をもつこともあり得ますし、出資者・投資家との関係性が変わってしまった場合など、起業時に発行した株式が後の資金調達の支障となることも考えられます。
起業時の出資の場合にも投資契約書をつくっておくべきです。
もっとも、内容については、その後の大きな金額の出資に比べてシンプルになると思いますし、権利義務も絞る必要があると思いますが、それでも投資契約書をつくっておくことは必要です。
なお、出資してもらうことは創業者以外の株主が増えることですので、創業者が複数いる場合の創業者間のトラブルは、出資者を巻き込んでより複雑になってしまうことがあります。
そのため、創業株主間契約をしっかりとつくっておくことが必要です。