【解説】ベンチャー企業がシリーズA段階で資金調達をする方法とは

資金調達で必要な法律

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スタートアップやベンチャーのシリーズAの資金調達

弊社(みらいチャレンジ社)では、スタートアップ企業やベンチャー企業の資金調達を行っています。

スタートアップ企業やベンチャー企業企業が、初めて優先株式等を発行して資金調達をする場合をシリーズAといいます。

スタートアップ企業やベンチャー企業企業が、シリーズAや、その前段階(シードステージやアーリーステージ)で資金調達をする場合の資金調達方法として、普通株式を発行することが多いです。

これは、シリーズA前の段階での資金調達は、通常、5000万円に満たない金額であることが多く、この金額を優先株式の発行により調達することは、優先株式自体の発行コストやその後の管理負担等を考慮すると、シリーズA前という資金にあまり余裕のないベンチャーにとっては、簡単に選択できる方法ではなかったのです。

しかし、シンプルな普通株式での投資の場合は、投資家にとっては、その後の資金調達フェーズで優先株式等が劣後してしまうという問題が生じます。

経営陣としても、普通株式での投資時点でバリュエーションを確定してしまうことでバリュエーションが低くなる結果、投資家のシェアが高まり、経営陣のシェアがその分低くなってしまうという問題が生じてしまうケースがあります。

そこで、優先株式の発行や単なる普通株式の発行以外の方法での資金調達方法を紹介します。

シリーズAでの資金調達方法

具体的には、3つの方法が考えられています。

  1. 新株予約権付社債(CB)
  2. みなし優先株式
  3. 有償新株予約権

1)新株予約権付社債(CB)

まず、新株予約権付社債です。CBとも言われています。

これは、通常の社債であれば、金利を付けて返済する必要があります。しかし、新株予約権もついているので、株式に転換でき、値上がり益も期待です。

そのため、通常の社債よりも、低金利での調達が可能です。

また、新株予約権の行使条件として、今後の資金調達の発生を定めておき、さらに新株予約権の目的となる株式を当該資金調達で発行する優先株式とする形にすることも考えられます。

シリーズA前の段階では、ベンチャーの製品やサービス内容が固まっておらずバリュエーションが難しいケースがあります。

このような場合、CBでは、新株予約権の行使価額を行使条件で定めている今後の資金調達における株式の発行価額に連動させることにより、バリュエーションを今後の資金調達をすることが可能となります。

2)みなし優先株式

みなし優先株式は、普通株式の発行であり、その発行に際して、一定の資金調達の発生を条件に特定の普通株式を当該資金調達で発行する優先株式に転換することを全株主の間で合意しておくというものです。

これにより、後からの資金調達で、優先株式に劣後することを防ぎ、現在の資金調達をしやすくすることができます。

3)有償新株予約権

有償新株予約権は、新株予約権の有償発行であり、新株予約権の行使条件として今後の資金調達の発生を定めておきます。

さらに新株予約権を行使した場合の株式を、今後の資金調達で発行する優先株式としておきます。

シリーズAの資金調達は、設計が大事

上記1~3のいずれも、将来、一定の資金調達が発生した場合は、当該資金調達で発行する優先株式と同じ内容の優先株式の交付を受けられるようにしておくという仕組みになっています。

これにより、経営陣・投資家ともに満足するような結果を得ることが可能です。

スタートアップ企業やベンチャー企業のシリーズA段階では、バリエーションなども未成熟な場合が多いです。そんな中、きちんと資金調達をするためには、きちんと設計することが必要になるのです。

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