インターンシップを導入するときの法律的な設計と注意点【解説】

雇用・労務関係の法律

komon5000

インターンシップとは

インターンシップとは、学生が在学中、一定期間企業の内部で研修生として働くことにより就業体験を行える制度です。

最近では、スタートアップ・ベンチャー企業の採用活動の一環として機能しています。

スタートアップ企業では、このようなインターンシップ制度に力を入れており、幹部社員をインターンシップ担当者に抜擢している場合も多いです。

中には、シリコンバレーに無料で招待するプログラムや1日数万円の金銭支給を行う企業なども話題となり、優秀な学生の囲い込みとしてインターンシップが利用される例も増えています。

インターンシップに関する法律の注意点

インターンシップの設計として、インターンシップが「労働者」に該当するかどうかに注意する必要があります。

仮に労働者性が認められるインターンシップの内容を設計した場合には、最低賃金法労働基準法といった各労働法の規制に服することとなるため、まずは「労働者」に該当するインターンシップなのかを検討します。

「労働者」に該当する場合、無給のインターンシップを設計することはできなくなるのです。

労働者に該当するかは、以下の要素などによって総合判断されます。

(1)指揮監督下の労働

  • 仕事の依頼、従事業務の指示等に対する許諾の自由 ・業務遂行上の指揮命令
  • 勤務場所・時間の拘束
  • 労務提供の代替性

(2)報酬の労務対償性

  • 報酬と労務との対償性

(3)その他労働者性の事実

  • 事業者性
  • 専属性の程度
  • 公租公課の負担

わかりやすく説明すれば、社員たちの働く現場を見学する単なる体験会のように、業務遂行の要素が低い設計であれば、「労働者」に該当する可能性は低いです。

他方、インターン生に対し、社員の指揮命令によって企業の事業活動に従事させ、会社の規則を適用させ、反した場合には強く指導するなどの運用が重なった場合には、インターン生を「労働者」として扱う必要がある可能性が高いです。

この場合、インターン生に対して労働基準法に基づき給与を支払う必要があります。

スタートアップ企業のインターンシップの設計としては、正社員と同様の職業体験を実施するケースが一般的であり、社員と同様に厳しく指導すると明言する企業もあります。

しっかりと正社員と同様の就業体験をさせたいと考える場合には、最低賃金を支払い、労働基準法などを遵守した設計にする必要があるのです。

インターンは、会社としての扱い方に注意

上記のように、会社としては、自社の行うインターンシップがどのような法的枠組みに当たるかを理解する必要があります。

インターンについては、採用の武器になるものですので、後ろ指をさされないようにしましょう。

komon5000