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スタートアップ企業にとってのIPO
スタートアップ企業の出口戦略の一つであるIPO。IPOをする先は、色々とありますが、その一つが、マザーズです。
「マザーズ上場」については、聞いたことがあると思いますが、どんな上場基準になっているのでしょうか。
マザーズとは
マザーズとは、スタートアップ企業などの新規産業や企業育成を目的とし、成熟した段階以前から証券市場を通じて資金調達の機会を提供し、一方で投資家に対しては成長企業に対する投資機会の提供という役割を担っています。
そのため、特に最近では、ステップアップを視野に入れた成長企業向けの市場としての立ち位置を明確化しており、成長企業が育って、他市場へ移行していくようなモデルを想定しています。
このようなマザーズ市場に上場する際の審査基準としては、形式基準と実質基準が定められています。
マザーズ上場の形式基準
マザーズ上場については、以下のような基準が設けられています。
株式の流動性基準
- 株主数:上場時までに株主が200人以上となる見込み
- 流通株式:次のaからcまでに適合すること
- 流通株式数:上場時までに、2,000単位以上となる見込み
- 流通株式時価総額:5億円以上となる見込み
- 流通株式数:上場時までに、上場株券等の25%以上となる見込み
- 公募:上場日の前日までの期間に、500単位以上
- 時価総額:10億円以上となる見込み
会社の内部体制という観点からは、上場申請日から起算して1年前から取締役会を設置して継続的に事業活動をしていること
財務諸表や有価証券報告書に虚偽記載を行っていないことなどの継続性基準も設けられています。
そのほか、株式を公開する前提として株式の譲渡制限を行わないことといった要件などが存在しています。
マザーズ上場の実質基準
形式基準をクリアしたとしても、直ちに株式を公開する適格性を有すると判断されるわけではありません。
大きく分けて、5つの観点からの実質的な基準を基に判断されることになります。
- 企業内容、リスク情報等の開示の適切性
- 企業経営の健全性
- 企業のコーポレートガバナンス及び内部管理体制の有効性
- 事業計画の合理性
- その他公益又は投資者保護の観点から当取引所が必要と認める事項
上記のような基準で、証券取引所により審査されることになります。
スタートアップ企業の経営者からは、どの程度の売上高や利益を有していれば上場できるのかという質問もありますが、このような売上高及び利益に関する形式的な基準はなく、主幹事証券会社によって申請会社が高い成長可能性を有しているかを判断することになります。
高い成長可能性を有していれば、増収増益である必要はなく、実際当期純利益が赤字の状態で上場している会社も存在します。
スタートアップ・ベンチャー企業にとってのマザーズ上場
以上のように、マザーズ上場には、様々なハードルがあります。
しかし、それをクリアすれば、大規模な資金調達が可能になり、社会的な信用もつくようになります。また、上場の手続きを行う中で、会社の内部体制も整っていきます。
このように、スタートアップ・ベンチャー企業にとって、マザーズ上場を目指すのも一つの選択肢なのではないでしょうか。