IPO・新規上場までのスケジュールは?なにを準備したらいい?【解説】

IPO(株式上場)の法律

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上場までのスケジュールは、どんな感じ?

上場をしようと思ったとき、事前の準備が大変なイメージがあります。

上場をするときには、実際に、どんな作業が待っていて、どんなことを準備しておくべきなのかを解説していきます。

上場準備は、3年がかりのプロジェクト

新規上場については、通常3年がかりで準備をします。

東京プロマーケットという準備期間が短くて上場できる市場もあります。

東京プロマーケットの上場への道!スタートアップやベンチャーにとってのIPOとは

しかし、そのほかの市場では、3年(もしくはそれ以上)の準備期間を経て、上場することが通常です。

IPOを目指す場合、株式上場時の決算期をN期と呼ぶことがあります。それから前に遡るにしたがって、Nマイナス1期、2期と呼びます。

例えば、2023年度に上場したいのであれば、2020年度がN-3期となります。実は、N-3期は、非常に重要な時期です。

IPOについての会計監査はN-2、N-1と連続2期必要です。そこで、IPOをするには、最短N-3期に準備が必要となります。

IPOのための体制整備を

IPOを目指すことにしたら、まずは体制整備です。

まずは、資本政策をいま一度精査し、収支状況を把握しましょう。

赤字で上場している企業も多いですが、申請時に、通常は10億~20億円以上の売上が見込めるか、1億~2億円の利益が見込めると、上場が容易となります。

そういった事業計画が達成できるか、なるべく客観的に検討しましょう。

そして、内部でもいいので、IPO担当チームを選任して、株主の確認、商標・知的財産権チェック、契約内容の確認、過年度株主総会、取締役会議事録の確認、収支データ、人事データの収集を始める必要があります。

N-3期の後半には、監査法人によるショートレビューを受ける場合があります。

このショートレビューについいては、30万~100万円ぐらいのコストがかかりますが、上場にあたっての問題点を指摘してくれますので、今後上場のスケジュールと作業リストを作成するのに非常に役に立ちます。

内部では、徐々に、管理スタッフの充実をはかり、管理会計の導入、会計方針の変更、バランスシートの整理、規程の整備、運用、内部統制の基本整備を行います。

さらに期末にかけて、ショートレビュー指摘事項の解決、関係会社の整理、社長貸付金などの整理や次年度予算作成、外部監査人の選定を行います。N-2期の期首固めのために、棚卸の実施、外部監査人による現金、手形、有価証券の実査、棚卸の立ち会いを行う必要があります。

上場申請直前前期(N-2期) で準備するべきこと

ここからは、正式な上場準備期間の始まりです。

前期につくった、コーポレートストーリー、中期事業計画、資本政策のブラッシュアップを行い、取締役会の月次開催を必ず行い、議事録を整備します。

マネジメントレポートを取締役会で報告し、月次(月別)決算と予算実績(差異)管理などの仕組みを構築していきます。

外部監査だけではなく、社内で内部監査室を設置し、内部監査計画をつくり、実施して、内部監査報告書を取締役会に報告するといった、会社内での内部統制の仕組みの構築が必要となります。

通常の会社は、定款と給与規程などしか機能していない場合が多いですが、IPOに当たっては、稟議・決定権限規程や取締役会規程から始まり、購買、販売、賃金、退職金などの規程類の整備が必要になります。

また、最近は、上場するためにコンプライアンスの強化が重要視されており、独立社外役員の設置が必要となる場合があります。

独立社外役員とは、役員の親族でないことはもちろん、過去当該企業の従業員や取引先、業務委託などの取引関係がないなど利害関係がまったくない役員のことで、内部統制の強化のために必要とされます。

期末にかけては、次期年度予算を作成し、期末棚卸の実施、外部監査人による棚卸の立ち会い、監査の実施が必要となります。

上場申請直前期(N-1期)で準備すること

N-1 期までに決めておきたいのが、主幹事証券会社です。主幹事証券会社は、上場するための最大のサポート役です。

また、株主名簿管理人の設置も必要です。

株式名簿管理人は株式名簿の作成や配当処理行います。株式上場後は、株の売り買いで、株主が不特定多数で、変動するので、名簿管理人が必要になるのです。

直前期には、上場申請の書類作成が必要となってきます。それまでに事業計画、資本政策の確定が必須となります。

ついに上場申請期

ここまでくれば、ラストスパートです。

会社の内部では、決算確定後、株主総会を開催し、その内容を盛り込んで、事前に作成していたものを改定します。

また、株式譲渡制限を解除する定款変更を行います。

実際の上場に向けて、公募価格の検討、有価証券届出書・目論見書の作成・提出を行い、株式公募のためのプレマーケティング、上場説明会を開催します。

主幹事証券会社は、引受審査を行い、会社とともに公募価格の検討、有価証券届出書・目論見書の作成・提出を行います。

実際の上場に向けて、プレマーケティング、ブックビルディングを行い、株式の公募価格を決定していきます。

証券取引所は、主幹事証券や会社と事前の連絡をとりつつ、正式な申請が上がってきたところで上場審査を行い、適正であれば上場承認をします。

金融商品取引を管轄する財務局は、上場申請の事前相談を適宜行い、内容を精査のうえ、有価証券届出書を正式に受理し、株式公募による大量保有報告書の受理を行います。

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