スタートアップ・ベンチャー企業にとって、IPO、新規上場をするには、マザーズ・ジャスダックなどを思いつくと思います。
しかし、TOKYO PRO Market(東京プロマーケット)という市場もあります。
TOKYO PRO Market(東京プロマーケット)は、馴染みがない経営者も多いと思います。
弊社コンサルティング会社であるみらいチャレンジ社では、IPO支援事業を行っています。
みらいチャレンジ社の業務内容
法律だけじゃない!みらいチャレンジ社が提供するスタートアップIPO支援事業とは
その中で、東京プロマーケットへの相談も増えてきました。
今回は、TOKYO PRO Market(東京プロマーケット)への上場の道について、お話します。
目次
東京プロマーケットは、上場しやすいマーケット
上場するというのは、本当に大変で、時間がかかるイメージがあります。
確かに、上場するのは大変ですし、時間がかかるのですが、スタートアップ・ベンチャー企業に向けて、もう少し上場しやすくしようというのが、このTOKYO PRO Market(東京プロマーケット)です。
- 上場についての監査証明が1年間でOK(他市場は、最低2年)
- 時価総額・利益などの数字的な基準が、具体的に定められていない
- 四半期開示などが必要なし
上記のように、他市場に上場する場合には、スタートアップ・ベンチャー企業が大きな負担になる部分が大幅に軽減されています。
これにより、今までは、上場に踏み出せなかった企業、上場できるようになったのです。
東京プロマーケットへの上場のメリット
東京プロマーケットですが、この市場で売買できるのは、いわゆる「プロ投資家」です。
上記のように、TOKYO PRO Market(東京プロマーケット)は、上場基準が他の市場に比べて緩い分、投資する側にも、相当の目利きが必要になります。
よって、プロ投資家のみが、投資できることになっています。上記のことがあるので、他の市場に比べて、大規模な資金調達ができるというものではありません。
むしろ、東京プロマーケットは、ゴールではなく、マザーズやジャスダックなどの他市場への足掛かりといった意味合いが強いです。
東京プロマーケットに上場するメリットは、以下のことが上げられます。
大手企業との業務提携チャンスが増える
弊社のIPO支援先で多く聞かれるのが、上場して会社の信用が上がった、取引先からの扱いが変わったというものです。
やはり、「上場企業」というのは、一定の基準をクリアしているということで、社会的な信頼が上がります。
上場した企業は、さらに、ビジネスが加速したという声が出ています。
弊社の出資先でも、株式会社ビズライトテクノロジー(証券コード4383)は、東京プロマーケットに上場し、大手企業との取引が格段に増えました。
先日も、NTTドコモ、埼玉高速鉄道との共同事業の発表がありました。
(お知らせ)NTTドコモ、埼玉高速鉄道、ビズライト・テクノロジー、LIVE BOARD 世界初、鉄道車両内でのダイナミックDOOH事業を共同で推進
このように、より大きな取引のチャンスが格段に増えるのです。
M&Aなどで、売却金額が上がる
東京プロマーケットに上場することが、信用力が上がるので、企業価値が向上します。
そうなると、M&Aの際にも、企業の売却価格が上がることが多いです。
マザーズやジャスダックなどの他市場への上場が容易になる
上場しやすいといっても、東京プロマーケットへの上場する当たっては、会社の内部体制を整え、上場に値する会社になる必要があります。
よって、上場するだけの財務、労務、法務など必要な事項を整えることになるのです。
また、証券市場としても、いきなりマザーズとなると、実績も分からない会社だと、審査基準は厳しくなります。しかし、東京プロマーケットに上場して、実績を積むと、証券市場側も、マザーズなどへの上場も認めやすくなります。
銀行借入に関する代表者保証が外れる
ベンチャー企業・中小企業の場合は、銀行融資を受ける場合には、代表者の個人保証が求められることが多いです。
東京プロマーケットに上場すると、上場企業になりますので、代表者保証が外れることがあります。
会社の内部体制が整う
上場するということは、上場に適した体制を整える必要があります。
東京プロマーケットが、他と比べて、上場しやすいといっても、当然内部的に整えるところはたくさんあります。監査法人を入れて、財務的な整理も必要ですし、必要な規程類も必要になってきます。
このような整備は、会社にとって必要なもので、会社が会社らしくなっていくものです。
上場した支援先の経営者が「上場を準備する中で、今までは好き勝手やっていたのが、やっと会社らしくなった。ビジョンやミッションも整理され、従業員の士気も上がった。上場したら、会社の勢い、業績も上がった」と仰っていました。
このように、上場するというのは、単なる資金調達の手段ではなく、「会社」として必要な事項を整理していき、会社の方向性を明確にすることでもあるのです。
スタートアップ・ベンチャーは、東京プロマーケットに上場という選択肢も
スタートアップ・ベンチャー起業家の中には、「上場なんて、めんどくさい」「いまどき、上場?」と考える方もいます。
確かに、資金調達だけを考えるなら、今は他にも多くの手段があります。(みらいチャレンジ社では、上場以外にも、資金調達支援をしています。)
しかし、上場することによるメリットもあります。
東京プロマーケットという柔軟な市場に上場するという選択肢もあるよということを知っておいても良いのかもしれません。