IPO後に株式を継続保有する「ロックアップ条項」とは

IPO(株式上場)の法律

IPO(新規上場)後においても、ベンチャーキャピタル等、会社の大株主は上場後一定期間株式を売却せずに継続保有する必要が生じることがあります。

このような継続保有の仕組みは、ロックアップと呼ばれています。

ロックアップには、主幹事証券会社とベンチャーキャピタルなどの大株主や新規上場会社等との契約に基づくものと、証券取引所の規則に基づくものの2種類があります。

ベンチャーキャピタルなどは上場の際に売り出さなかった保有株式については、ロックアップ期間経過後まで保有株式売却によるキャピタルゲインを取得できないことになるので、注意が必要です。

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契約上のロックアップ

契約上のロックアップについては、主幹事証券会社と会社の大株主や新規上場会社等との間で締結される契約であり、その内容は、株式上場後の一定期間、大株主等が保有する株式の売出し、または新規上場会社による新株発行等を制限することに関して合意を行うものです。

ロックアップの期間としては上場日から90日または180日とするものが多いです。

株式上場の直後は、株式の流通量は、多くないことが通常であることから、株式上場直後において、株式上場前に多くのシェアを保有していたベンチャーキャピタルや経営株主等が大量の株式を売却する場合には、株式の需給バランスが崩れ、株式の価格が大幅に下落する可能性があります。

そのような事態を防ぐことが目的である。契約上のロックアップは、株式上場前に開示される「新株式発行並びに株式売出届出 目論見書」において開示されます。

また、契約上のロックアップには、たとえば対象となる株式の株価が公募価格の1.5倍となった場合には、任意ロックアップが解除されるなどの、投資家に一定程度配慮した条件が付されることも多いです。

条項例

引受人の買取引受けによる売出しに関連して、売出人であるA、Bならびに 当社株主であるC、Dは、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の○年○月○日までの期間(以下「ロッ クアップ期間」という)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当 社株式、当社株式に転換もしくは交換されうる証券または当社株式を取得もし くは受領する権利を表彰する証券の売却等(ただし、引受人の買取引受けによる売出し等を除く)は行わない旨合意する。

このような契約上のロックアップ条項は、判例上も有効とされているので、契約書にロックアップ条項がある場合には、注意が必要です。

強制ロックアップ

契約上のロックアップとは別に、証券取引所は、上場制度を利用した短期利益の取得の排除を目的として、その規則において、上場に近接する第三者割当て等によって株式の割 当てを受けた者および会社が、原則として6か月間割当てを受けた株式を継続保有すること等を約する旨記載した確約書を提出することを求めています。

詳細は、以下の通りです。

  • 対象株式は、上場申請の直前事業年度の末日の1年前の日以降に割当て等が行われた株式
  • 原則:割当てを受けた日から上場日以後6か月間を経過する日まで 期間

ベンチャー投資などをする場合には、上記規制があることを知った上で、投資するようにしましょう!

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