スタートアップ・ベンチャーの資金調達における「タームシート」とは

資金調達で必要な法律

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資金調達のタームシートとは

スタートアップ・ベンチャー企業において、資金調達のときに、タームシートという書面を作成することがあります。

タームシート (term sheet)」は、デュー・ディリジェンスの終了後に、投資契約や種類株式の内容についての主要な条件を簡易的に記載したと呼ばれる書面です。

タームシートを作成する場合、投資家候補およびベンチャー企業はタームシートを修正することで、投資の条件について交渉を行い、まず、タームシートレベルで、投資の条件について合意を行うことになります。

その後、タームシートを 反映して、正式な契約書になります。

また、通常の場合、タームシート自体は、正式な契約書の締結前に作成されるので、タームシート自体は、法的拘束力を有しないことが多いです。

しかし、タームシートで決められたことは、事実上合意されていることが多いので、投資契約書等を締結する段階における後出し交渉は相手方に受け入れられない可能性が高いことに注意が必要です。

種類株式の内容に関するタームシート

また、種類株式を発行する際には、その内容について記載したタームシートを事前にやり取りすることがあります。

このタームシートは、種類株式の内容について比較的簡易な記載をしており、実際には、条件についてより詳細に規定したタームシートを作成することも多いです。

種類株式のタームシート例

発行する株式 種類株式(A種優先株式)

PreMoney(潜在込) ○○円
株価 ○○円
発行総額 ○○円(○株:発行済み株式総数○%)
A種優先株式の主な条件

残余財産分配先権

  • A種優先株主に対し、払込金額の1倍も金額が普通株主に先立ち分配
  • 上記分配後の金額を普通株主およびA種優先株主の持株比率に応じて分配

剰余金配当

  • 普通株式と同順位、持株比率に応じて配当

普通株式対価の取得請求権

  • 取得日以降いつでも普通株式に転換可能
  • 転換比率は当初A種優先株式:普通株式=1:1
  • 株式分割、株式併合、株式無償割当て等は適切に調整
  • 株式の低額発行の場合は、ブロードベースまたはナローベースで調整

金銭対価の取得請求権

  • 資産または事業の全部または実質的な全部(2/3以上)を他の会社に譲渡した場合、実行通知受領後30日以内に、金銭対価の取得権請求可能
  • 取得対価の算定方法は、残余財産分配時の分配方法に準じる

取得条項

  • 株式上場の申請を行う旨の機関決定を行い、A種優先株式を普通株式に転換すべき場合、A種優先株式はすべて普通株式へ強制転換

議決権

  • 株主総会において普通株主と同様にA種優先株式1株につき1個の議決権・会社法322条1項各号に掲げる行為をする場合、普通株式または普通株式を目的とする新株予約権に関する募集事項の決定または募集事項の決定の委任を行う場合、A種優先株式またはA種優先株式を目的とする新株予約権に関する募集事項の決定または募集事項の決定委任を行う場合には、可能な限りA種優先株主総会の決議を要しない

起業家として、タームシートは確認しよう

上記のとおり、実際に投資家候補が投資をするにあたって、タームシートを作成する場合には、上記の種類株式の内容に関するタームシートだけではなく、投資契約や株主間契約の内容についてもタームシートに規定することも多いです。

このタームシートの内容が、契約書の元になるので、実際の投資契約に反映されます。起業家として、きちんと確認するようにしましょう!

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