エンジェル投資家に出資してもらう注意するべき法律

資金調達で必要な法律

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エンジェル投資家とは

エンジェル投資家とは、一般的には、創業間もないスタートアップ段階の企業に対して資金支援を行う個人投資家のことをいいます。

スタートアップ企業の経営者でも、最初の資金調達は、エンジェル投資家からというのが、多いのではないでしょうか。

エンジェル投資家とベンチャーキャピタルとの一番の違いは、ベンチャーキャピタルの場合には、基本的には外部の投資家から資金を調達し、その資金で運用をするが、エンジェル投資家の場合には、自らの資金で投資を行うことになる点です。

弊社でも、シード段階での企業に、エンジェル投資をすることがあります。

エンジェル投資は、資金調達の以上の意味がある

エンジェル投資家からの調達においては、単なる資金調達以上の意味があります。特に、エンジェル投資家は、経営者であったり、自らも会社を起業して、イグジットに成功した方が多くいます。

スタートアップ企業には、エンジェル投資家の経験、人脈などを活用できるという意味では、非常にプラスになります。

スタートアップ企業としては、資金調達することは大事ですが、誰から入れてもらうかも非常に重要になります。

エンジェル投資家との間で締結する契約の注意点

投資家との間で締結する投資契約又は株主間契約の主な機能は、投資するに当たり、投資家が経営者に対して期待することを明確にするという点にあります。

例えば、経営者の能力や手腕に期待して会社に投資したにもかかわらず、経営者自身が投資後すぐに会社を辞めてしまっては投資した意味がありません。

投資家としては、投資の前提として、少なくとも経営者が会社に専念する義務を課し、経営者の兼業により能力が分散されることを防止するべく、競業禁止条項を設けることが通常です。

また、投資家としては、投資後、投資した会社の状況が全く把握できなくなるケースもあります。

そのため、ベンチャーキャピタルとの投資契約又は株主間契約においては、月次での決算報告を求める契約とする場合も少なくないのですが、エンジェル投資段階で月次決算を求めることは過剰な経理実務を押し付けることにもなりかねず、会社の成長に専念すべき時期に得策ではないこと考えられます。

強制売却権(DragAlong条項)

経営者が早期に株式売却によるバイアウトを希望する場合であっても、エンジェル投資家としては当然その後株式価値が高まってから売却したいという希望があります。

他方、経営者としては、さらなる成長を遂げるために、早い段階でメガペンチャー企業の傘下に入ることを選択することもあり得りえます。

このような場合に、一部の株式を保有するエンジェル投資家が反対したためにメガベンチャー企業の傘下に入る選択肢が頓挫することを避けるべく、経営株主が株式を売却する場合には、エンジェル投資家も同一の買い手に売却するよう請求できる権利を設けることがあります。

実際にはエンジェル投資家が同条件を受け入れるかどうかという交渉になる場合もあるが、上記のような事態が発生する可能性も考えられるため、事前に投資家と話し合っておく必要があるでしょう。

エンジェル税制

エンジェル投資家の投資を促進するために、日本ではエンジェル税制(ベンチャー企業投資促進税制)という制度が導入されている。

エンジェル税制に定める要件に該当する場合、企業への投資額をそのままその年の他の株式譲渡益から控除でき、投資(ベンチャー企業株式の売却)により生じた損失と、他の年の株式譲渡益と相殺することができるというものです。

相殺しきれなかった損失も翌年以降3年間相殺可能な制度となっている。投資方法としても、スタートアップ企業への直接投資以外に、認定投資有限責任組合経由、証券会社経由の投資の場合にも、この制度を利用することができる。

起業家としても、エンジェル投資家の投資において同制度の適用を求められるケースもあるため、このような制度の存在について覚えておくとよいでしょう。

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