販売代理契約書に記載する内容について【解説】

契約書解説

自社商品やサービスについて拡販したい場合に、販売代理店を使う場合が多いかと思います。そんなときには、販売代理契約書を締結するのが一般的です。

今回は、販売代理契約書に記載する内容について、解説をしていきます。

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第1条(目的)

乙は、乙が運営する○○事業(以下「本件事業」)の販売代理業務(以下「本件業務」という)を甲に委託し、甲はこれを受託する。

解説】

販売代理契約については、どの事業を対象とするのかを明確にする必要があります。

本部側と代理店側で、売る商品、サービスについての理解に齟齬があると、後から大きなトラブルになります。よって、この点は、きちんと確認するようにしてください。

第2条(代理権の付与)

  1. 乙は甲に対し、本契約の定めに従い、本契約期間中、本件事業の購入希望者(以下「顧客」という)への販売に関して、甲を代理人として指名する
  2. 乙は甲に対し、顧客への販売に関し、本契約の定めに従い、本契約期間中、乙を代理して以下の各行為を行う代理権を付与するものとし、甲はこれら各行為を本契約に基づき本件業務として行うものとする
  1. 顧客開拓等、販売促進活動を行うこと
  2. 乙へ顧客の紹介を行うこと
  3. 顧客へ本件事業の説明を行うこと
  4. その他、甲乙で定めた事項

解説

販売代理契約については、代理店側が、どこまで行うかを明確にする必要があります。代理店側の役割を明確にしておかないと、本部側としても、自社の風評などのリスクが生じかねません。

代理店側としても、想定していなかった業務までやることになってしまうと自社の収益にも直結する問題になります。よって、本部側、代理店側双方が、代理店の役割を明確にするという意識が必要です。

第4条(報告)

  1. 甲は乙に対し、販売状況について、毎月末日で締めて、翌月10日までに報告するものとする
  2. 甲は、乙の求めがあるときは、本件業務に関する情報をすみやかに報告しなければならない

解説

代理店側が顧客との契約のやり取りまで行う場合には、本部としては、代理店側に販売状況がどうなっているかを報告させる必要があります。

また、販売状況が代理店報酬に直結する場合には、本部側としてもこれを把握することが必須になります。本部側としては、販売状況の報告については、代理店側に短期間で行ってもらいたいと思うかもしれません。

一方、代理店側は、本部側に報告する手間がかかることになるので、報告の期間については、自社の負担のないように定める必要があります。

第6条(禁止事項)

甲は、本件契約に関し、以下の行為をすることを禁止する。

  1. 乙指定の販売方法を逸脱した行為
  2. 法令に違反する勧誘行為
  3. 第三者に本件事業及び関連する内部事情の一切を口外すること
  4. 本件事業と同一又は類似サービスの制作・販売及び一切の競業行為
  5. 本件事業と同一及び類似の商品・サービスについて、代理店契約をすること
  6. その他、当社の指定した行為

解説

本部側の視点

本部側としては、代理店側にこれだけはしてほしくないということを定めることになります。よって、本部側として、これをしてもらっては困るというものを列挙しておく必要があります。

代理店側の視点

代理店側としては、禁止行為の条項があるのであれば、注意する必要があります。

特に「(4) 本件事業と同一又は類似サービスの制作・販売及び一切の競業行為」と「(5) 本件事業と同一及び類似の商品・サービスについて、代理店契約をすること」の条項については、注意が必要です。

(4)については、本部側と同じような事業をしてはいけないという条項で、(5)については、同一及び類似の商材を扱っていけないというものです。

(5)について、代理店としては、商材については、さまざまな同業他社のものを揃えた方が、エンドユーザーには喜ばれます。

仮に本条項を設けることになった場合であっても、本商品と同一する商品のほかに、本商品と類似する商品といった曖昧かつ広範囲の規定を入れないよう求めることになります。

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