資金調達時の優先株式における3つの投資契約条項には気を付けろ!

契約書解説

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優先株式を発行したときの投資契約書

スタートアップ・ベンチャー企業が資金調達をするとき、優先株式を発行するときがあります。

このような場合、投資してもらう人との契約書に対して、どのようなことに注意する必要があるのでしょうか?

今回は、この規定が注意した方がよい3つの条項を解説します。

優先分配権とは

優先株式の特徴である、その優先権が、普通株式と比較して何倍の優先権を有するかの設定を行います。

投資家が10億円を投資した場合、会社が清算又はM&A時において、1倍であれば投資額の1倍である10億円を優先的に回収でき、2倍であれば投資額の2倍である20億円を優先的に回収することが可能になります。

この点は、まずはスタートアップ企業としては投資家サイドとタームシートベースで話し合うことになるため、将来の会社売却時にどのような結果になるのかを想定しながら交渉することがよいでしょう。

この判断の際、抽象的に何倍かと判断するのではなく、想定する売却時期、売却額の持株比率をシミュレートし、数学的な根拠をもって交渉することになります。

先買権とは

先買権(RightofFirstRefusal)とは、創業者・経営者などがその所有する株式を売却しようと希望する場合に、投資家があらかじめ経営者などから通知を受け、売却対象となる株式を買い取る機会が与えられる権利のことをいいます。

つまり、経営者らが見知らぬ者に株式を売却するのであれば、その売却前に自分が買い取るという権利を保有することになります。

ポイントとしては、この先買権の権利を有する投資家をどの範囲に設定するかは設計する必要があります。

強制売却権とは

強制売却権(DragAlong条項)とは、株主が株式を売却する場合に、他の株主が保有する全ての株式を同一条件で株式譲渡先に売却することを強制できる権利のことをいう。

この条項は強力な権利であり、大株主がイグジットを行いたい場合に他の株主にまで強制することができることになるというものです。

M&Aバイアウトを行う場合には、その企業の全株式を譲渡することがバイアウトの条件となるときもあり、少数株主が一部でも反対したときにはその取引自体が消滅してしまう可能性があることから、このような権利設定が生まれました。

基本的には、マジョリティ株主が保有すべき権利ですが、ベンチャー投資実務では、10%のようなマイノリティ出資の場合にも、経営株主に対して強制売却権を付けて提案される場合が少なくなく、注意が必要です。

強制売却権という規定を見つけたら気をつけた方がよいと思います。

投資契約は、一度受け入れると元に戻れない

投資は、一度、受け入れてしまうと元に戻すことはできず、後々のM&AやIPOにも関わってきます。

契約書は、非常に重要ですので、しっかりとチェックするようにしましょう!

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