相手から契約書を提示されたときに、まず確認すべき7つの条項【2020年10加筆】

契約書解説

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契約書を相手方から提示されたら、まずどこを見る?

スタートアップ・ベンチャー企業では、取引相手方から契約書を提示されることが多いです。

そこで、今回は、取引相手から契約書が提示された場合に、まずどこを見るたらいいのかを解説します.

 

契約期間

継続的な契約(賃貸借契約、システムの保守契約、弁護士や税理士の顧問契約等)を締結する場合には、契約がいつからいつまでであるのかを定める必要があります。

また、契約満了時に、自動的に更新するかどうかなども契約条件としては重要です。

なお、単純な商品の売買や、単発のサービスの提供のように、単発で終わる取引の場合には、双方の義務が履行されれば契約が終了するため、契約期間を定める必要はありません。

契約の解除

契約の解除は、既に成立した契約関係を一方的に失わせることをいいます。契約の解除は、契約違反の場合に認められます。

そこで、契約書に、自社では対応することができない事項が記載されていないかを検討する必要があります。

期限の利益の喪失

「***の場合には、当然に期限の利益を喪失し、相手方に債務の全部を直ちに弁済しなければならない」などの条項を期限の利益の喪失条項といいます。

債務に期限が設けられている場合、債務者は、直ちに弁済しなければならないものではありません。

期限が設けられることは、当事者間の信頼関係を前提に、債務者にとっての利益があります。

債権者としては、当事者間の信頼関係が破壊させる事情があれば、債務者の利益を喪失させて、直ぐに債務の履行を求める必要があります。

スタートアップ・ベンチャー企業としては、「期限の利益の喪失条項」がある場合には、どのような事項が記載されているか確認するようにしましょう。

損害賠償条項

法律上は、損害賠償条項がなくても、債務不履行や不法行為によって相手方から損害を被った場合には、相手方に対し、相当因果関係のある損害の賠償を請求できます。

しかし、契約の性質によっては、債務者の義務を制限するために、損害賠償義務を負わないこととするべき場合や、損害賠償額の上限を設けるべき場合があります。

また、反対に、損害賠償額を明確化し、債務を確実に履行させることを目的にする場合もあります。

完全合意条項

民法上、契約書に記載がない事項であっても、合意があれば、契約の内容になってしまいます。

例えば、議事録や担当者同士のメールで、契約書にはないやり取りをしている場合です。

このため、当事者間に争いが生じた場合には、契約書に記載がない意外な事項が契約の内容であったと判断されてしまうおそれが否定できません。

そこで、これを避けて、契約書に記載されたことに限って合意したとするべき場合に、完全合意条項を設けることがあります。

分離可能性

「本条項のいずれかが違法又は無効と評価された場合でも、それ以外の条項の効力は、影響を受けない」などと定められます。契約書の一部が無効と評価されると、それに関連する他の条項も無効と解釈される場合があり得ます。

分離可能性は、このような解釈を避けるための規定です。

スタートアップ・ベンチャー企業にとって、不利益な規定ではありませんが、一応、押さえておきましょう!

合意管轄

裁判になった場合に、どこの裁判所で裁判するか(管轄裁判所)は、第一審に限り、お互いの合意で決定できます。

これは、管轄裁判所をあらかじめ指定しておき、紛争を解決するための手続きを明確にしておくための規定です。

契約交渉上、自社の所在地の管轄裁判所を指定できれば、万が一訴訟になった場合に、裁判所までの交通費や弁護士への日当を節約することができます。

条項は、「**地方裁判所を専属的合意裁判所とする」「**地方裁判所を唯一の合意裁判所とする|などと定めておかないと、法律に基づいて、別の裁判所でも訴訟提起が可能となってしまう可能性がありますので、注意しましょう。

YouTube動画でも、解説していますので、是非ご覧ください。

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