【景品表示法】景品・プレゼントするときの法律の規制とは

事例検証

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過大なプレゼントには法律の規制がある

商品やサービスを購入してくれた人にプレゼントをするのは、販売促進としては、非常に有効です。

しかし、過大なプレゼントの提供は、景品欲しさに本来不要であるはずの商品やサービスを購入させるおそれがあるなど、消費者の商品・サービスを購入するかどうかの判断に悪影響を及ぼしてしまう可能性があります。

そこで、景品表示法では、過大なプレゼントに対する規制を設けています。

今回は、景品表示法の解説をします。

法律上の「プレゼント」とは

そもそも、法律上、規制対象となる「プレゼント」とは、なんでしょうか?

景品表示法では、「景品類」について、「顧客を誘引するための手段として、その方法が直接的であるか間接的であるかを問わず、くじの方法によるかどうかを問わず、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引に付随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であって、内閣総理大臣が指定するもの」と定義しています。

具体的には、どのような場合に「景品類」に該当するのでしょうか。

①顧客を誘引するための手段として

まず、「顧客を誘引するための手段として」とは、提供者の主観的意図やその企画の名目を問わず、客観的に顧客誘引のための手段かどうかによって判断されます。

したがって、事業者が、商品購入を促す目的を持っておらず、例えば、お礼のため、または市場調査のアンケート用紙の回収促進のためという目的しか持っていなかった場合であっても、客観的にみて顧客誘引のための手段になっている場合には「顧客を誘引するための手段として」の提供と認められてしまう可能性があります。

また、新たな顧客の誘引に限らず、取引の継続または取引量の増大を誘引するための手段も、「顧客を誘引するための手段」に含まれます。

②自己の供給する商品又は役務の取引

自己が製造しまたは販売する商品についての最終需要者に至るまでの全ての流通段階における取引が「自己の供給する商品又は役務の取引」に含まれることになっており、その対象が広範になっていますので、この点注意が必要です。

③取引に付随して

取引付随性は景品表示法による規制の前提となる重要な要件となります。

以下のような場合は「取引に付随する提供」に当たると考えられています。

  1. 取引を条件として提供する場合
  2. 取引を条件としないものの、主に取引の相手方に対し提供する場合
  3. 取引の勧誘に際し提供する場合

また、複数の商品や役務を合わせて販売する場合には、一方が他方に付随する景品類であると評価される可能性があるので、注意する必要があります。

組み合わせ販売が明らかな場合や、組み合わせ販売が商慣習となっている場合、さらには組み合わせることにより独白の機能、効用を持つ1つの商品や役務になっている場合は、原則として取引に付随する景品類には該当しないものとされています。

その他、ホームページ上で実施される懸賞企画は、通常は懸賞への参加がただちに購入に繋がるわけではないことから、取引付随性を満たさないと考えられています。

ただし、応募者を商品やサービスの購入者に限定している場合や、購入しなければ正解やヒントがわからない場合には、取引付随性があると判断されますので、注意が必要です。

この点、無料会員登録や資料請求のように、一連の過程において一切対価関係が発生しない場合には「取引に付随」しない可能性が高いものの、一方で、銀行口座の開設やクレジットカード契約のように、後に対価関係が発生する場合には「取引に付随」すると考えられるため、具体的ケースに応じて慎重に取引付随性の有無を検討したほうがよいと考えられます。

なお、新聞、テレビ、雑誌、ウェブサイト等で企画内容を広く告知し、郵便はがき、ウェブサイト、電子メール等で申し込むことができ、抽選で金品等が提供される企画(いわゆるオープン懸賞)は、原則として、取引に付随しているとはいえないので、景品規制は適用されず、提供できる金品等に具体的な上限額の定めはありません。

しかし、商品やサービスの購入や店舗への訪問を条件とする場合は、景品として景品規制が適用されます。

では、インターネット上で行われる懸賞サイトがサービスページ等の商取引サイトを見なければ懸賞サイトを見ることができないようなホームページの構造であった場合はどうでしょう。

この場合は、当該ウェブサイトへの訪問を前提としているため、上記の店舗への訪問と似た状況にありますが、ウェブサイトに関しては、懸賞に応募しようとする者がウェブサイトに訪問したとしても商品やサービスを購入することに、ただちにつながらないため、商品やサービスを購入しなければ懸賞企画に応募できない場合でなければ、オープン懸賞に該当し景品規制は適用されないとされています(「インターネット上で行われる懸賞企画の取扱いについて」平成13年4月26日公正取引委員会)。

物品、金銭その他の経済上の利益

法律上の「景品」になり得るものについて、何かしらの利益になるものは、含まれます。金銭はもちろん、商品券やあらゆる便益が含まれます。

景品類に該当しない場合「キャッシュバックや値引き」

上記の要件を満たす場合でも、特別に景品類にならない場合があります。

例えば、値引きはキャッシュバックについては、景品には該当しないとしています。

景品規制とは

上記の「景品類」に該当する場合には、どのような法律的規制があるのでしょうか?

①一般懸賞

景品類が「懸賞」に基づいて提供される場合は「一般懸賞」と呼ばれます。

「懸賞」とは、くじ等の偶然性や特定の行為の優劣もしくは正誤によって景品類を提供することをいいます。

例えば、抽選やじゃんけんにより提供する場合、一部の商品にのみ景品がついており外観からはわからない場合(「偶然性」によって提供するケース)、クイズ等の回答の正誤や競技の優劣により提供する場合(「特定の行為の優劣もしくは正誤」によって提供するケース)等がこれにあたります。

景品類の提供が「懸賞」に基づく場合には、以下のの両方を満たすことが必要です。

  1. 提供する景品類の最高額は、懸賞に係る取引価額の20倍(ただし上限10万円)を超えないこと
  2. 景品類の総額は、懸賞に係る取引予定総額の2%を超えないこと

ここで、景品類の額の算定は、景品類と同じものが市販されている場合は「市販の価格」。市販されていない場合は、提供者が入手した価格、類似品の市価等を勘案して、受け取った人がそれを通常購入することとしたときの価格により行われます。

また「取引価額」は、購入額に応じて景品類を提供する場合は、当該購入額。購入額を問わない場合および購入を条件としない場合は、ケースに応じて最低取引額とされる場合や100円とみなされる場合等があります。

一方、「取引予定総額」は、懸賞販売実施期間中における対象商品の売上予定総額とされます。

②総付景品

一般消費者に対して懸賞によらないで提供する景品類は総付景品べ夕付け景品と呼ばれます。

具体的には、商品・サービスの利用者や来店者に、もれなくプレゼントする金品等がこれに当たります。また、商品・サービスの購入の申し込み順または来店の先着順により提供される金品等もこれにあたります。

この場合、景品類の価額は「景品類の提供に係る取引価額の20%の金額(当該金額が200円未満の場合は200円)の範囲内」となります。

ただし、商品の販売や使用、役務の提供のため必要な物品やサービス、見本や宣伝物、自己との取引で用いられる割引券類、および開店披露、創業記念等の行事で提供する物品やサービスは、正常な商慣習に照らして適当と認められるものであれば、この制限を受けないことになっています。

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