盛る表現や偽りの表現はダメ!商品やサービスの表示に関する法律【景品表示法の表示規制】

事例検証

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商品やサービスの表示には、注意が必要

商品やサービスは、多くの人に買ってもらいたいので、広告宣伝する際には、よりよく見せようということを考えると思います。

しかし、商品やサービスの表示には、一定の制限があります。その法律が、景品表示法です。

この法律は、事実よりも「盛った表現」を禁止するという法律です。

もし仮に、商品や役務の内容や取引条件について、実際よりも著しく優良または有利であると見せかける表示が行われた場合、消費者は、正常な判断ができなくなってしまうので、規制されています。

景品表示法では、この「盛った」表現を(1)優良誤認表示、(2)有利誤認表示、(3)その他誤認されるおそれのある表示の3つに分類されています。

優良誤認表示

優良誤認表示は、商品や役務の品質を実際よりも優れていると偽ることです。

たとえば、①ノーブランドの牛肉であるのにブランド牛であると表示していたり、②中古車の売買で10万キロ走っているのに走行距離を3万キロであると表示していたり等が典型的な例です。

この規制は、だます意図がなく、うっかりで表示してしまった場合でも、景品表示法により規制されることになりますので、注意が必要です。

優良誤認表示については、消費者庁長官は、優良誤認表示に該当するか否かを判断する必要があると認めるときは、当該表示を行った事業者に対して、期間を定めて、その表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることが認められます

この場合において、事業者が求められた資料を提出しない場合、当該表示は優良誤認表示とみなされます

事業者から提出される資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであると認められるためには、以下の2つの要件を満たす必要があると考えられています。

  1. 提出資料が客観的に実証された内容のものであること
  2. 表示された効果、性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応していること

したがって、事業者としては、商品または役務の品質、規格その他の内容についての表示を行う場合には、このような資料の提出が求められても対応できるよう、その分野において一般的に認められた方法により試験や調査を行ったり、または専門家等の見解や学術文献等を入手するなどして、裏付けをきちんと確保したうえで、その資料を保存しておくことが重要です。

①について、どのような資料であれば客観的に実証された内容のものと認められるかについては、消費者庁の「不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の運用指針 」に記載されていますので、ご確認ください。

有利誤認表示

商品や役務の取引条件について実際よりも有利であると偽ったり、競争事業者が販売する商品や役務よりも、特に安いわけでもないのにあたかも著しく安いかのように偽る行為が「有利誤認表示」として禁止されています。

例えば、以下のようなものが、有利誤認の例です。

  1. 基本価格を記載せずに、「今なら半額と表示したが、実はもともと安価な商品であったため半額ではなかった
  2. 折込チラシで「地域一番の安さ」と表示していたが実際には周辺店舗の価格調査をしていなかった
  3. 販促キャンペーンで景品について「当選○本と表示していたが実際には当選本数は表示されていた本数より少なかった
  4. いわゆる「サクラ」がロコミを投稿していた

こちらも、消費者を騙す意図はなく、過失により誤って表示をしてしまった場合であっても、景品表示法により規制されることになりますので、注意が必要です。

その他誤認されるおそれのある表示

商品または役務の取引に関する事項について、一般消費者に誤認されるおそれがある表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定する表示を禁止しています。

これを受けて、以下に関する不当な表示の6つの告示が定められています。

  1. 無果汁の清涼飲料水等についての表示
  2. 商品の原産国に関する不当な表示
  3. 消費者信用の融資費用に関する不当な表示
  4. 不動産のおとり広告に関する表示
  5. おとり広告に関する表示
  6. 有料老人ホーム

提供する商品や役務の内容が、これらの6つに関連する場合には、こちらの内容もあわせて確認するようにしましょう。

インターネット上における広告表示に関する注意点

最近では、商品や役務等に関する評判や噂などをまとめた、情報を掲載するインターネット上のサイト(プログや、ロコミ情報を書き込めるグルメサイトなど)の評価が、消費者に大きな影響を与えることが多くなっています。

ブロガーやインフルエンサーなどに対して、自身の商品や役務がことさら素晴らしいものであるかのような記事の執筆を依頼する事業者も増えています。

この場合、商品やサービスを提供する事業者が、ロコミサイトにロコミ情報を自ら掲載し、または第三者に依頼して掲載させた場合において、その掲載内容が、その事業者の商品や役務の内容または取引条件について、実際のものまたは競争事業者のものよりも著しく優良または有利であると一般消費者に誤認されるものである場合には、景品表示法上の不当表示として事業者が責任を負う可能性があることには、十分注意する必要があります。

景品表示法に違反した場合の効果

景品表示法に違反する不当な表示が行われている疑いがある場合、消費者庁は、関連資料の収集、事業者への事情聴取などの調査を実施する権限を有しています。

調査の結果、違反行為が認められた場合、消費者庁は、当該行為を行っている事業者に対し、不当表示により一般消費者に与えた誤認の排除、再発防止策の実施、今後同様の違反行為を行わないことなどを命ずる「措置命令」を行う場合があります。

違反の事実が認められない場合であっても、違反のおそれのある行為がみられた場合は指導の措置がとられることがあります。

また、優良誤認表示および有利誤認表示については、課徴金納付命令の対象となる場合があります。

以上が、景品表示法における表示規制となりますが、実際に表示を行うにあたっては、景品表示法のほか、薬機法や食品衛生法上の表示規制にも注意する必要があります。

商品やサービスについて広く広告を出すベンチャーも多く見受けられますが、その際にはこれらの規制に反しないか慎重に検討するようにしましょう。

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