スタートアップの資金調達は出資やエクイティファイナンスが大事!【2020年9月加筆】

資金調達で必要な法律

スタートアップ・ベンチャー企業にとって、投資を受けることは、避けては通れない道です。

エクイティファイナンスとは、エクイティ(Equity、資本)が増加する資金調達のことを指し、新株の発行(株主割当、第三者割当といった払込みを伴う増資)が一般的です。

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出資・エクイティファイナンスの重要性

前述のように資金調達といっても様々な方法があることを紹介しましたが、スタートアップ企業の場合、エクイティファイナンスが最も有効な資金調達方法といってよいでしょう。

エクイティファイナンスの場合には、自社の株式を発行し割当を行うのみで、調達した金額を事後的に返済する義務を負いません。

スタートアップ企業の場合、シリーズA(起業したばかりのスタートアップ企業に対してなされる初めての投資のこと)で資金調達を果たし、さらにクロースしていく段階にはプロモーション費用やサーバ増強のために資金調達を図る必要性が生じる。常に成長を遂げるスタートアップ企業にとって、毎月返済を継続する必要のある資金調達方法は一般的には不向きです。

また、一般的な銀行借入では担保の設定が必要になることもあり、創業者自らの連帯保証や物的担保を付けた場合、仮に事業がうまくいかずに資金ショートしてしまった際、個人でも返済義務を負うことになります。

リスク負担の観点からも躊躇されよう。しかしながら、無担保無保証型の創業融資も増えているため、その条件を見極める必要があります。

ベンチャーキャピタルの収益構造

主にスタートアップ企業に投資を行う主体として、ベンチャーキャピタルの存在が大きいです。

ベンチャーキャピタルは、投下した資金を確実に全企業から回収するのではなく、成長性の高い未上場会社に投資を行い、その中の一部の企業がイグジットすることにより多額のキャピタルゲインを得るというビジネスモデルです。

そのため、安定的に収益を上げていく企業を期待するよりも、高い収益性を誇るサービスを作り、多額の収益を上げるような成長性の高い企業に出資を行うこととなります。

ベンチャーキャピタルの利益構造は、複数の会社に投資を行い、その内1社でも巨額のキャピタルゲインを得られれば、その他全ての会社が上手く行かなくとも利益が出る構造にあります。

貸付の場合には、リターンが利息での収益となるためリスクの高い投資をすることができず、実際に回収が見込める金額や担保価値を前提に貸付額を判断することとなります。

他方、スタートアップ企業への投資の場合、主に将来利益の見込みを基準に判断することになり、一般的には将来キャッシュフローを、リスク等を勘案した割引率によって現在価値に割り引いた金額を評価額と査定し、バリュエーション算定します。

貸付の場合よりも、多額の資金調達を行える可能性が高いです。

TVCMも含めた大型のプロモーションを行うためには、数十億円の費用投下を予定する場合もあり、未上場段階のスタートアップ企業が資金調達を行う場合には、エクイティファイナンスを用いることが一般的です。

出資・エクイティファイナンスの仕組み

一般的なスタートアップ企業の資金調達方法である第三者割当増資を前提に、エクイティファイナンスの仕組みを簡単に説明します。

株式会社が新株を発行する際には、1株当たりの払込金額を定めて新株を発行します。

これを引受ける者は、定められた1株当たりの払込金額を株式会社に払込むことにより、その新株を引き受けることができるのです。

このときに払い込まれた金銭が調達資金であり、株式会社は、投資契約等で制限がない限り、この資金を自由に利用することができます。

当然ながら、企業価値が低く評価されて1株当たりの払込金額が少額であれば、多数の株式を発行しなければ多額の資金の調達はできないし、反対に、企業価値が高く評価されて1株当たりの払込金額が高額になれば、少数の株式の発行であっても多額の資金を調達することができます。

そして、株式の発行により自らの持ち株比率が低下するため持株比率を考慮した資本政策を立案しなければならなりません

このようにして新株発行等により資金調達を行う方法がエクイティファイナンスです。

なお、創業期の経営者が誤解していることがあるのですが、経営株主の株式を第三者に譲渡し、これに対価が生じても、会社の資金調達にはなりません

このような株式の譲渡の対価は、経営株主が得る金銭であって、会社が得る金銭ではありません。

また、これは、単に株主の持株構成が変更されるだけであり、会社の資本が増加するものでもありません

新株の発行は、このような株式の譲渡と異なり、会社が新たな株式を発行して第三者が引受け、この第三者が新株を引き受けるために払った払込金額が会社に帰属するものなのです。

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