ベンチャー・スタートアップ企業のM&Aの手法とは?なぜ株式譲渡が多いのか。

M&Aの法律

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ベンチャー・スタートアップ企業のM&Aの手法とは

ベンチャー・スタートアップ企業が会社を売却(バイアウト)する場合、ベンチャー・スタートアップ企業自身、またはその株主が、当該するM&Aにおける売主となり、買主との間でベンチャー・スタートアップ企業を対象会社とするM&Aに関する契約(以下「M&A契約」という)を締結することになります。

M&A契約の種類は、契約当事者間で選択したM&Aの形態によって様々です。

たとえば、株式譲渡においては、ベンチャー・スタートアップ企業の株主が売主となって、買主との間で株式の譲渡契約を締結する
「事業譲渡」においては、ベンチャー企業自身が売主となって、買主との間で事業譲渡契約を締結します。

ベンチャー・スタートアップ企業のエグジットとしてのM&Aの形態については、株式譲渡がほとんどです。

当社では、M&A支援業務(<ahref=”https://mirai-challenge.com/”target=”_blank”rel=”noopener”>みらいチャレンジ株式会社)を行っていますが、当社の案件でも、株式譲渡が多く、その次に、事業譲渡契約という印象です。

反対に、会社の合併などの例は、ベンチャー・スタートアップ企業のM&Aでは、ほとんど例がありません。

なぜ、ベンチャー・スタートアップ企業のM&Aでは、株式譲渡が多いのか

ベンチャー・スタートアップ企業のM&Aにおいて、株式譲渡が主に用いられる理由としては、以下の理由が考えられます。

  • 他の形態と比較して手続的負担が小さい点(債権者保護手続や労働者保護手続を経る必要がないなど)
  • 譲渡額に対する課税率が低いために売主が株式売却によって得る利益を可能な限り最大化できる

もっとも、株式譲渡による場合(特にベンチャー企業の発行済株式の100%を取得しようとする場合)には、ベンチャー・スタートアップ企業の各株主から株式を取得することが必要になります。

そこで、どうしても少数株主の同意を得ることができず、ベンチャー企業の発行済株式の100%を取得することができそうにない場合には、株主ではなく、ベンチャー企業・スタートアップ自身がバイアウトの売主となって、株主総会の特別決議で実行できる株式交換を選択し、ベンチャー企業を買主側企業の完全子会社として、継続して郵業拡大を行っていくことも考えられます。

また、2020年度末までの時限法ですが、産業競争力強化法等改正により、M&Aの買主が自社株式を対価としてM&Aを行う場合、当該買主が同法に基づく特別事業再編計画の認定を受けることを条件に、売主となる株主が、買主株式の取得に係る譲渡益課税の繰り延べ措置を受けることができるようになりました。

その結果、買主の自社株式を対価とするM&Aが利用しやすくなっています。

当該改正をベンチャー企業のエグジットとしてのM&Aでいえば、当該改正によって、たとえば、通常は現金が対価とされる株式譲渡の場合でも、大企業だけでなく、資金力に余裕のないベンチャー企業が、よりベンチャー企業のエグジットとしてのM&Aの買主となりやすくなったといえます。

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