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商標権とは
商標権とは、ブランドを保護するための権利です。サービス名やロゴなどに認められるものです。
例えば、ルイ・ヴィトンのマークが付けられたバッグであれば、消費者は、そのマークを信用し、高度な品質やデザイン面での信頼を前提にブランドバッグを購入するように、その強力なブランドカを保護するために認められた権利です。
このマークを表示しているから、この信用力ある企業が作っていると信頼できるという意味で、出所表示機能とも呼ばれています。
ブランドを保護するため、企業は会社名や会社のロゴ、サービス名などを商標出願し、登録することによって権利を守ることとなります。著作権と異なり、自ら商標を出願しなければ権利が付与されないため注意が必要です。
商標の機能としては、以下4つの機能を有するといわれます。
- 自他商品識別機能
- 出所表示機能
- 品質等保証機能
- 広告宣伝機能
そもそもユーザーとして商品を購入するとき、何を指標に購入するのかを要素分解して考えていくとわかりやすいです。
商品に付されたロゴ等を見て特定の企業の商品であると認識できる(1)自他商品識別機能が商標にあります。
そして、その商品を開発した企業に対する信頼から、この商品は優れているとの推測を及ぼします。
出所を表す機能として、(2)出所表示機能が商標には備わっています。
また、同様の品質への信頼・保証という側面からみたものが(3)品質等保証機能となります。
以上のような出所・品質への信頼感が一定以上集まった結果、ブランドとしての価値が高まり、商標それ自体が④広告宣伝的な意義を有していきます。
ブランド化された商標により、自社と他社を識別する機能として商標が存在し、識別性が商標の機能といえます。
このような機能を有する商標を、法的な権利として表したものが商標権です。
商標登録することで、類似した商標を使用する企業に対して差止請求権を行使することができます。
なお、商標上の「使用」とは、商標が持つ機能(自他商品識別機能、出所表示機能等)を有する使用のことであると裁判例等で理解されています。
つまり、商標権を侵害するとは、あたかも、その企業なり、ロゴについて、その権利を持っている企業が使用していると思わせるような態様で使用すると、商標権侵害になります。
例えば、何の断りもなしに、第三者が、バックにルイヴィトンのロゴを入れるような行為です。
そのため、単にプレゼン資料で他者の商標を掲載して他社のサービスについて言及したり、ECモールにおいて出品者の商標を掲載して出品者を紹介したりする場合には、商標の「使用」には当たりません。
スタートアップ・ベンチャー企業は、いつ商標を取るべきか
会社設立の場合又はサービスをリリースする場合、事前に他社商標権を調査の上、商標権を侵害する可能性があるときは、会社名・サービス名を変更することを含めて検討が必要となります。
また、会社名及び自社サービス名は商標権について、いつ商標権を取得するべきかも検討する必要があります。
もちろん、最初の段階で取っておくと、サービス名などが、マネされた場合に直ちに差止請求を行う対応をとることができるなど、非常に強い権利を持ちます。
もっとも、商標権の取得には、お金もかかることから、起業直後だとお金の配分も考える必要があります。
ビジネスで知っておくべき商標のこと
ビジネスをやっていく上で、知っておくべき商標権について、解説していきます。
商標をとれない名称
上記の通り、商標とは、自社の業務に係るサービスや商品を、他社のサービスや商品と識別するための識別標識としての機能を有しているとされていました。
よって、そもそも識別性のない商標は拒絶されます。
そのため、一般用語に近いような普通名称をサービス名に付けていたとしても、商標登録することはできません。
以下のような商標については、商標権の対象とならないので、注意しましょう。
- 商品やサービスの普通名称
- 慣用商標
- 品質表示語
- ありふれた氏又は名称
- 極めて簡単で、かつありふれた商標
- そのほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であるこ とを認識することができない商標
商標権侵害(類似性)の判断基準
商標登録後、自社保有の商標に類似するとみられる他社の商標を発見した場合、差止請求を行うかの判断を行います。
この場合、商標権の類似性判断が問題になります。この点、以下の3要素により判断されます。
- 外観の類似
- 称呼の類似
- 観念の類似
(1)外観の類似とは、要するに商標の見た目に着目して類似するかを検討するものであり、目で認識できる要素から判断するものである。
次に(2)称呼の類似であるが、商標の発音が類似しているかを検討するものであり、耳から聞き取れる要素から判断される。
最後に、(3)観念の類似は意味内容から類似性を判断し、思考により認識できる意味内容が同一かどうかという判断要素となる。「企業」と「コーポレート」では、外観も称呼も異なるが、観念は同一であるという捉え方である。
上記3要素を総合考慮して判断するが、これは、専門的な判断が必要になり、裁判例でも判断が分かれるところです。
少しでも、疑問に思ったら、専門家に意見を聞くようにしましょう。