スタートアップ・ベンチャーにおける「資本政策」は、どうやるの?【解説】

会社運営に必要な法律

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スタートアップに重要な「資本政策」

スタートアップを起業して、一番大事になるのが「資本政策」です。

資本政策とは、いつどの時点で、いくらくらいの資金を調達するのか、どの時点で、誰に、どの程度の株を渡すのかを決定していくことを言います。

スタートアップ企業などにとって資本政策を考えることは、株式に関する戦略を練ることでもあり、極めて重要です。

株式は、一度、渡してしまうと、取り返しがつきません。後から、買い戻すというのは、ほぼ不可能です(同意があれば、可能ですが、その同意が取れないことが多いです…)

しかし、スタートアップ・ベンチャー企業では、最初の段階で不用意に株式を渡してしまうケースなども見られます。

そのため、先々を考えて資本政策をどのような手順で策定するのか、どのようなことを策定する必要があるのか、などといったことを考える必要があるのです。

そこで、資本政策をするにあたって、どのように決めていくのかを解説します。

事業計画を決める

資本政策といっても、いきなり、株式いくつ渡すみたいな話をするわけではありません。まずは、その企業の事業計画を固める必要があります。

事業計画とは、事業の達成目的、達成する計画・過程を示したものです。

資金調達すると言ってもどれぐらいの資金が必要なのか、ある程度見積もりは必要です。

このような「事業計画に基づいた資金計画」を作成し、会社の運転資金や設備投資資金などを、いつ、誰から、どのような方法で集めるかを検討します。

ここで注意すべきなのは、事業計画は、現場からの意見も取り入れることです。

経営者としては、大きな夢を描いていると思います。それは非常に重要なのですが、資金ということになれば、現実的な計算が必要になってきます。

経理担当者や営業責任者などの現場の人たちの意見も聞いて上で、計画を練っていく必要があるのです。

企業価値の算定(バリュエーション)

企業価値とは、会社の価値のことです。

スタートアップ段階では、会社=事業なので、事業としての価値と言い換えることもできます。

この算定をバリュエーションといったりしますが、これには①戦略的な視点と②会計的な視点が必要です。

①戦略的な視点とは、事業計画からこれぐらいの資金が必要そうである、また今後の追加の資金が必要になるかもしれないから、総額としてこのぐらいは必要。シード段階では、○○円、シリーズAでは、○○円調達したい。だから、この段階での株は、このくらい発行しよう。というような結論から逆算するものです。

そして、それを②会計的な観点から理論づけしていくのです。

会計的な観点は、会計士・税理士の協力が必要ですが、この現在の業績や将来の予測なども踏まえて、バリューエーションを行っていくのです。

資本政策の作成

上記が終わると、実際の資本政策作りが始まります。

ポイントは、誰から、どのような手段で、資金を調達するかです。

具体的には、株主割当増資、第三者割当増資、ストックオプション、株式分割、従業員持株会等の手法を組み合わせます。
これをシミュレーションし、最適なものを選んでいきます。

スタートアップ企業の経営者としては、この数字の羅列に、いやになることもあるかもしれません。

しかし、資本政策は、一度失敗すると、取り返しがつかないことになります。経営者としては、専門家に分かるまで質問することが大事です。

また、一度作成した事業計画、資本政策は定期的な見直しが必要です。

時の経過につれて経営状態は変化します。経営状態の変化に応じて、将来の事業計画も変わりますし、資本政策の目標も変わってきます。そのため、資本政策は、定期的に見直す必要があるのです。

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