雇用契約書に明記が必要な6つの記載条項【弁護士が解説】

会社運営に必要な法律

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雇用契約書を作成する上で、必要な条項とは

人を雇用するときには、雇用契約書が必要になるのですが、法律上、どのような記載になるのかを解説していきます。

1)雇用期間

労働契約書では、無期雇用なのか、それとも有期雇用なのかを明らかにすることが必要です。

そして、有期雇用の場合には、その期間を明確に記載しなければなりません。有期雇用と記載しながら期間を記載しないと、無期雇用であると判断されるおそれがあります。

なお、有期雇用であっても、雇用期間が更新され、雇用期間が通算して5年を超えた場合、従業員から申出があれば、無期雇用に転換することが法律で義務づけられています。

2)有期雇用契約の更新

有期雇用契約の場合には、契約の更新があるのかを明らかにする必要があります。

契約更新については、(a)自動的に更新する、(b)更新する場合がある、(c)更新はしない、という三つのパターンが考えられます。

次に、契約更新があり得るという場合には、どのような基準で契約更新の有無を判断するのかを雇用契約書上明らかにしておかなければなりません。

たとえば、勤務成績や業務遂行能力、担当する業務量の多寡といった基準が考えられます。そのほかにも、特定のプロジェクトに従事することを目的として雇用した場合には、そのプロジェクトの進捗状況といった基準もあり得ます。

3)就業場所と担当業務

従業員が実際に働く場所を具体的に記載します。たとえば「当社東京本社」や「千葉工場」など、具体的に記載するようにします。

また、担当する業務についても記載する必要がありますが「経理業務」「営業業務」などできるだけ具体的に記載しておけば「こんなはずじゃなかった」と言われてトラブルになったり、退職に至ったりする事態を避けることができます。

そして、就業場所と担当業務について重要なことは、その後の変更があり得る場合、「会社は、必要がある場合は、就業場所または担当業務を変更することができる」といった規定も設けておくべきでしょう。

4)労働時間・休憩・休日・休暇

雇用契約書では、始業時間と終業時間を明記し、さらに休憩時間も記載して労働時間を明確にする必要があります。

さらに、休日(土曜日と日曜日が休日など)についても記載し、休日が変動する場合にはどのようなルールで休日が決まるのかを記載します。

なお、労働時間の上限は法律で定められていますので、1日8時間、1週40時間を超えることがないように労働条件を設定することが必要です。そして、この労働時間を超える時間外労働(残業)の有無(通常は「有」だと思います)についても記載します。

また、年次有給休暇の日数についても記載する必要があります。このとき、法律で決められている日数を下回る基準で有給休暇を定めたとしても(例:有給休暇はないものとする)、法律で定められた基準は最低ラインとなりますので、少なくとも法律の基準以上の有給休暇を付与しなければなりません。

5)賃金

賃金については後にトラブルとならないようにあいまいに記載せず、質金額がいくらとなるのか、手当などは支給されるのか否かがわかるよう、明確に記載しなければなりません。

とくに基本給のほかに色々な手当がある場合、どの手当が支給されるのかをその金額と併せて雇用契約書で明確にしておかなければなりません。

そのほかにも、賃金の支払い方法や支払い時期(毎月25日払いなど)も記載する必要があります。

6)退職・解雇

労働契約書には、退職や解雇に関する事項も記載しなければなりません。退職については、どのような場合に退職となるのか(退職を届け出て会社が承認したときや死亡したとき、定年となったときなど)について明記します。

そして、自ら退職する場合にはいつまでに届出をする必要があるか(たとえば退職希望日の1か月前まで)についても明記しておくことが必要です。

また、解雇となる場合についても、できる限り詳しく記載する必要があります(就業規則に詳細に定められている場合は、詳細に記載する必要はありません)。

解雇となる場合について記載していない場合や、記載があっても抽象的な記載しかない場合(例:「会社が不適当と認めた場合」といった記載しかない場合)には、いざというときに解雇できないこともあり得ますので、想定される解雇理由はきちんと記載すべきです。

最低限、必要な項目は記載する

以上の6項目については、法律によって書面で明示しなければならないものです。きちんと記載するようにしましょう!

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