前回、全てを失い、共同経営者のY君とも別れ、実家に帰ってきた中野青年。
そして、ドアのインターホンを鳴らすと、そこには父親の姿が…
大喧嘩して以来、久しぶりにみる父親の姿。
その姿を見た瞬間、中野青年は、土下座をしました。
事業が失敗したこと
もう、お金もなく、住むところもないこと
仲間も誰一人として、いなくなり、独りぼっちなこと
そして、今までの不義理を、ひたすら謝り続けました。
しばらく、無言の父親
勘当されたら、野宿だなと、そう思いました。
だけど…次の瞬間…父親から意外な一言が…
「おかえり。飯、出来てるぞ」
そして、リビングにいくと、そこには母親の手料理がズラリ…。
「おかえり」
笑顔の母親…。
その瞬間、中野青年の中で何かが弾けました。
嗚咽…号泣…
しばらく、立てない中野青年
3年間、一度も帰っていないにも関わらず、
そのことには一切触れず、ただ、笑顔で中野青年を迎えてくれたのです。
会社が軌道に乗り、月に何百万円というお金が入り、それを使って、豪遊する。
父親よりも、多くの収入を得て、俺は、間違っていなかった
俺は、父親を超えたと思っていました。でも、それは大きな勘違い…
人間としての度量、器の大きさでは、親の偉大さを改めて感じました。
目次
就職しようかな…でも…
会社が倒産したのが、大学4年生
いつまでも、フラフラしているわけにもいかないので、就職活動をしようと思った中野青年。
そこで、大学の就職課を訪ねてみると、就職課のおばちゃんから、
「大学4年生⁉︎もう就職活動のピークは過ぎているわよ…就活市場の価値は、3年生がピーク。4年生になると価値がないのよ」
と一蹴されました。
就職課なんだから、もう少し相談乗ってよ!と思ったのですが、
当時は、就職戦線がどんどん前倒しされていた時期。
リーマンショック前で、景気も良く、採用も売り手市場でした
同級生は、大学3年生までには、就職を決めていたのです。
価値がない…その言葉が、中野青年の心をえぐりました。
そして、中野青年は、以前所属していたサークルのサークル室へ。
事業が軌道に乗ってからは、めっきり顔を出さなくなっていましたが、そこには、同期がいるはず…。
何か、情報があるのではないか…そう期待して訪れました。
でも…いざ、訪れてみると…冷たい視線が…。
それはそうです!事業がうまくいっていたときは、その成功を見せびらかしたくて、
高級ブランドに身を包み、自分の成功を誇示していました。そして、真面目に就活している同級生に向かって、「就活して会社の奴隷になるなんて、俺は絶対嫌だね」、「俺は、自分の力で稼いでいくんだよ」…
なんという、勘違い野郎!
そんなことを言っていた人間が、就職の情報をください…ふざけんなって話です。
当然、僕のことを助けようとしてくれる人は誰一人としていませんでした…。
自分は、価値のない人間なんだな…
これまで、自分が周りの人たちに対してしてきたことに、中野青年は、心から後悔しました。
後悔先に立たず…その言葉の意味を、中野青年は痛感しました。
しかし、中野青年には、へこんでいる時間はありません。何とか進路を決めない…
何とかしようと思い、翌日も外出しようとすると…玄関から外に出られない…
玄関から外に出ようとすると…眩暈が…
中野青年の身に一体何が…